2dActorTools を使えるようにする 備忘録
はじめに
2dActorToolsという素晴らしいツールがある。
Adobe Piremiere Proにおいて、VOICEROIDをはじめとした合成音声ツールを使用する際の作業を効率化してくれるエクステンションだ。
具体的には、
- 特定のフォルダを監視し、音声ファイル作成と同時にタイムラインに音声配置
- テキストファイルから字幕、テロップを作成し、音声と同じ位置に配置
- 立ち絵を1つのシーケンスで管理しつつ、GUIで表情を切り替える
など、これらがないと正直Prでボイロ動画作りたくないすよってレベルのことをやってくれている。
これらの機能はエクステンションのバージョンアップごとに動画で紹介が行われ、エクステンション自体も高頻度で更新されている。Twitterアカウントでのサポートも手厚い。
しかし、2022年12月現在機能の詳細や使い方を確認する方法が機能紹介の動画しかない。
特にバージョンアップ時に行われた仕様変更の情報が散在しており、仕様確認が大変だった。
久しぶりに2dActorToolsを使って動画を作ろうとしたところ、上記の点で大変苦労したため、初回セットアップについて個人的なメモを残しておく。
初回セットアップと銘打っているが、エクステンションのインストール方法はreadmeで十分に説明されているため取り扱わない。
本記事では投稿日現在において「Premiere Proで新規プロジェクトを作成した後、『音声・字幕・立ち絵』を配置できるようになるまで」を対象として記録する。
また、「まばたき・口パク」などのアニメーションについては該当機能を使用していないため、本記事では取り扱わない。
動作環境
1. 設定ファイルを作成する
Premiere Proで新規プロジェクトを作った後、2dActortoolsのウィンドウ右上に、黄色の「!」マークがあるはずなので、それをクリックする。
設定ファイルを新規に作成する場合は「保存」を、
既存の設定ファイルを読み込む場合は「インポート」を選んで設定ファイルを指定する。
設定ファイルを用意しないとなにをやってもエラーが出るので一番最初にやろう。
2. 音声の保存フォルダを設定する
2dActorToolsのウィンドウ>自動インポートタブから、自動インポートの設定を行う。
フォルダ監視とルール定義を行うことで、音声ファイル作成時に指定したビンにインポートし、タイムラインの現在位置に配置してくれるようになる。
筆者環境では今のところ合成音声ソフトとして、VOICEROID2、A.I.VOICE、VOICEBOXを使用している。
これらの音声ファイルの保存方法だが、とりあえずボイスの種類に関わらず音声ファイルとテキストファイルを1つのフォルダにぶち込み、ファイル名にキャラクター名を入れてキャラごとにルールを作っている。
鎖のアイコンをクリックするとフォルダ監視状態になり、自動インポートが行われる。
もう一度アイコンをクリックすると、リンクが解除される。
音声の保存については、
VOICEROID2とA.I.VOICEについてはVoiceroidUtilで音声ファイルの命名規則と保存先を定義している。
VOICEVOXはVoiceroidUtilが対応していないので、VOICEVOXのオプションで命名規則と保存先を指定している。
キャラの行き来が若干面倒なので、この手順はもっと簡略化できる気がする。
TODO:なんかいい方法考える
3. 字幕用のMOGRTファイルを設定する
2dActorToolsでは、字幕をつける場合いくつかの方法があるが、今回はモーショングラフィックステンプレートを用いる方法を使う。
モーショングラフィックステンプレートはPremiereとAfterEffectsで中身が違うのだが、2dActorToolsで使用できるのはAfterEffects版のみとなる。
まず、AfterEffectsでモーショングラフィックステンプレート(MOGRT)を用意する。
AEを持っていない場合は2dActorToolsに同梱されているsampleのMOGRTを使おう。
注意として、MOGRTは2dActorTools紹介動画での作成方法(AE2020)とAE2021以降で作り方が変わっている。
AE2021以降、「互換性がない」「連続ラスタライズが有効になっている」「コラップス変換が有効になっている」レイヤーをMOGRT化できなくなっている。
参考:
イトウ先生のTips note【AfterEffects 2021】モーショングラフィックステンプレート内のメディアの置き換え – デザログ
テキストレイヤーは連続ラスタライズで描画されているため、上記のエラーが発生する。
これは字幕として使用したいテキストレイヤーをコンポジション化することで解決方法できる。
字幕用コンポジションの作成方法
字幕にしたいテキストレイヤーを右クリックし、プリコンポーズから新規コンポジションを作成する。
エッセンシャルグラフィックス ウィンドウのプライマリで、1で作成したコンポジションを選択する。
字幕用のコンポジションパネルから、字幕に設定したテキストの「ソーステキスト」をエッセンシャルグラフィックスのウィンドウにドラッグアンドドロップする。
- 項目名が書いたテキストのままになってしまっているので、項目名を「ソーステキスト」に変更する。
- 「プロパティを編集」をクリックし、全項目にチェックを入れる。
これでフォント、スタイル、サイズ、斜体、ボールドなどをPrでもいじれるようになった。
フォントの色に関しては項目が見つからなかった。変えたいときはAE上で編集しよう。 - エッセンシャルグラフィックス ウィンドウの下部にある「モーショングラフィックステンプレートを書き出し」をクリックしてMOGRTファイルを書き出して完成。
ちなみに、コンポジションをMOGRT化することによって、字幕としての表現度は上がっている(とおもう)。
例えばコンポジションに音声素材を含めることで、字幕の表示と同時にSEが流れるようなテンプレートが作れるよ。
下準備が長くなってしまったが、Premiere Proに戻ろう。
今回は「音声素材をすべてタイムライン上に配置し終わっているので、音声と同じ時間に字幕を並べたい」というケースで操作を行う。
注意点として、この機能を使う際は音声ファイルの作成時に、音声ファイルと同じフォルダに音声と同名のテキストファイルを保存するようにすること。
2dActorToolsウィンドウ>字幕タブで「MOGRTのインポートから」先ほど作成したMOGRTをインポートする。
音声のあるオーディオトラックと、字幕を配置したいビデオトラックをターゲットトラックに選択する。
「トラックに並べるMOGRTを選択」からを適用したいMOGRTを選び、「ターゲットトラックにMOGRTを並べる」をクリックすることで、選択した音声トラックに合わせて字幕が生成される。
プリセットタグを使うことで、特定のプリセットを利用している際のみ字幕をつける、という処理ができる。
また、字幕生成時に正規表現パターンを入力しておくことで、字幕生成時に字幕の文章整形ができる。
一括生成した字幕の位置や大きさなどをまとめて修正したい場合は、2dActorToolsウィンドウ>リファインツールタブから行う。
- どれでもいいので生成された字幕クリップを選択し、修正する。
- 修正したクリップを選択状態にし、リファインツール上の項目から修正した項目を選択してコピーをクリックする。
- 再度修正した項目を選択し、修正項目を適用したいクリップをすべて選択状態にしたらペーストをクリックする。
シリーズ物などで同じ設定を使い回す場合、パラメータをプリセット化してD&Dで一括設定したほうが早くて楽。
4. 立ち絵素材を設定する
はじめに、立ち絵素材の透過pngを用意する。素材の用意方法は使用する立ち絵やツールによって異なるため、割愛する。
筆者環境ではPSDToolkitを使用した。透過pngが用意できたら、パーツの種類ごとにフォルダを分けたものを用意する。
これを親フォルダごとプロジェクト内にある2dActorToolsのビンにインポートする。2dActorToolsウィンドウ>立ち絵タブを開き、親フォルダと同名のボタンが表示されていることを確認する。表示されていない場合は左上の更新ボタンを押す。
設定したい立ち絵のボタンをクリックすると、初回であれば立ち絵の設定ファイルの保存場所とサムネイルの保存場所を訊かれるので、設定する。とりあえず親フォルダの直下に設定している。立ち絵のグループを設定する。最初はフォルダ構造を参考にグループが作成される。
グループ名を右クリックすることで、グループの作成やグループの変更が可能。 グループ内のパーツは並べ替えが可能。
複数重ねて表示したいパーツはグループを増やしておくといい。重ね順はグループの並び順がそのまま反映される。
グループの並び順を変更すると表情の切り替えが正常に動作しなくなるため、なるべく表情をつける前に構成を決定させたほうがよい。 設定が完了したら、「設定の保存」をクリックして保存。立ち絵タブに戻り、改めて使用したい立ち絵のボタンをクリックする。 シーケンスを作成するか訊かれるので、作成する。
シーケンスが作成されたら、シーケンスをタイムラインの0秒に配置する。
オーディオクリップは不要なので、クリップを右クリック>リンク解除をしてオーディオクリップを削除する。配置したクリップを選択状態にし、立ち絵タブから使用したい立ち絵のボタンをクリックする。
これで選択状態のクリップがリンク状態になり、立ち絵の編集が可能になった。
タイムラインの位置に合わせて、切り替えたいパーツのサムネイルをクリックすることで切り替えができる。
おわりに
以上で2dActorToolsを使って『音声・字幕・立ち絵』を配置できるようになるはず。
新規プロジェクト作成時に上記の項目を全部やるように見えるかもしれんないが、今回ゲーム実況動画を作った際の編集作業は
- プロジェクト新規作成
- 設定ファイル作成
- ゲーム録画カットしつつ音声収録と配置
- 立ち絵設定
- 画面レイアウト決め
- 字幕用MOGRT用意
- 字幕配置、修正
- 立ち絵表情付け
と、いくつかの手順が前後していた。このあたりは今後最適化されるはず。
2dActorToolsには編集時に便利な機能がまだまだあるが、記事は一旦ここで終了とする。
もし知りたいよって方は公式の紹介動画を参照してください。
www.nicovideo.jp
それでは、よき動画制作ライフを。
使用させていただいた立ち絵
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作った動画